6月16日(日)に三条寺町スタジオにて開催された「Well-Being Assement Project Vol.2」では、ヨガとマインドフルが心身に与える影響についての専門的な分析を、臨床心理士である谷口拓郎先生よりご報告いただきました。こちらのイベントの参加者のおひとりで、ご自身もこの春からTAMISAでヨガの練習をつづけてくださっているRikoさんがレポートを書いてくださいったので、ここにシェアさせていただきます。Rikoさん、このイベントを楽しんでくださって、そして丁寧にまとめてくださって、ありがとうございます!
先日 2024 年 6 月 16 日(日)に開催された、「児童福祉施設におけるヨガ・マインドフルネス」の報告会について、レポート記事をお届けします!
Reporter : Ishibashi Riko
学生時から臨床心理学を学び、過去に児童福祉施設に勤めていた経験から、個人的にとても興味深い気持ちで、この度初めてイベントに参加しました! (開催を知った時点で、参加即決でございました。)

⽇時 ︓ 2024 年 6 ⽉ 16 ⽇(⽇) PM 13:00〜
会場 ︓ ヨガスタジオ Tamisa 三条
講師 ︓ Tanimoto Takuro ⾕本 拓郎 先生
京都光華⼥⼦⼤学健康科学部⼼理学科 教員 公認⼼理師・臨床⼼理⼠
参加者︓ ヨガスタジオ Tamisa 受講者、ヨガ経験者、⼼理職・児童福祉職経験者 等
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I. 座学 ︓ 「児童福祉施設におけるヨガ・マインドフルネス」の研究・取り組み
II. 実践 ︓ 「ヨガ・マインドフルネス」の体験
III. 座談会︓ 質疑応答
取り組み
・児童福祉施設で⽣活する⼦どもたちに、「ヨガ・マインドフルネス」を実践し、彼らの健やかな成⻑や⽇々の⽣活にはたらきかける
・「ヨガ・マインドフルネス」の実践効果について、⼼理学等の専⾨的・科学的な視点から考え、分析し検証する
⽬的
「ヨガ」の効果の⾒える化
・具体的に、どのような効果があるのか︖について知る
・⼈は、根拠を確認できた⽅が、動機づけが⾼まる
・より安⼼感・期待感をもって、ヨガに取り組める
意義
なぜ、児童福祉施設で「ヨガ・マインドフルネス」を実践するのか︖
⽣育歴や養育環境等の課題に直⾯し、トラウマ体験(傷つき)等を抱える⼦どもたちへの⼼⾝の癒しは、彼らが⽣きていくために、何にも変え難いほどに必要となります。
自ら、安全で、安⼼感を与える「ヨガ・マインドフルネス」の⼿法は、⾮常に効果的と考えられます。
⼦どもたち⾃⾝の⾃⼰治癒⼒ともなり得る、「ヨガ・マインドフルネス」による治療効果を実証しその実践を継続することは、今後の未来に向けて⼦どもたち⾃⾝が⾃分を⼤切にできるためのきっかけや⼿助けとなる、何よりの⽀援といえるのではないでしょうか。
「ヨガ・マインドフルネス」の効果
・ ⾝体意識の活性化
・ 注意⼒の向上
・ ⾃⼰制御能⼒の向上
・ 感情の抑制
・ 精神的安定
・ 主体性の感覚の回復
・ ⾃⼰統制の回復
また、トラウマを抱える⼦どもたちにとっては、トラウマ症状等の直⾯時に、⾃分⾃⾝への意識(思考・記憶・経験等)に向き合える助けになると考えられます。
⼦どもたちにとっての「トラウマ」とは
本来辿る成⻑とは、逆⾏した環境で⽣きてきた⼦どもたちがいます。
講師・⾕本先⽣によると、欧⽶の研究では、10⼈に1⼈が養育者からの暴⼒的扱いを受け、4⼈に1⼈が⾝体的虐待の体験があるといわれているほどに、社会的に深刻で当事者にとって重篤な問題といえます。対象となる施設で暮らす⼦どもたちは、「バッグドラフト現象」*なるトラウマ反応を引き起こす等の症状による苦しさを⽇々抱えています。
* バッグドラフト現象︓ ⽕災時に不完全燃焼により⽕の勢いが衰えた密閉空間に、外部から窓・ドアを 開くと、化学反応により急激に爆発が引き起こされる現象。
⾃分⾃⾝の感情に向き合うことが⼤変難しいために、周囲の⼤⼈からは、⾒守ろうとする姿勢を保ちながらも、⼦どもたちの痛みに少しずつ触れ合うような関わりが⽋かせません。
⽇々過ごす環境のなかで築かれていく、⼤⼈との信頼関係が、⼦どもたちの今後の"⽣き⽅"において⾮常に重要となります。
「ヨガ・マインドフルネス」の効果検証
対象
児童福祉施設で⽣活する⼦どもたち
▶︎児童養護施設・児童⼼理治療施設・児童⾃⽴⽀援施設 等
▶︎⽣活する⼦どもたちの約9割は、養育困難な家庭環境に育つ等の被虐待体験がある
▶︎⼦どもたちの特徴︓
・体験による、⾃分⾃⾝の感情を感じにくい
・無感覚・空虚感に⽀配されやすい
・現実感(現実的な感覚・判断等)が乏しい
・ポジティブ感情もネガティブ感情も過剰で、エネルギーが常に⾼い状態にある
⽅法
1. ⽉1回程度、ヨガ・マインドフルネスのプログラム(実践指導)を⾏う
▶︎ヨガ・マインドフルネスを、施設の同じ空間で⼤⼈も⼦どもも共に体験する
▶︎⼦どもたちは⽣活の中で毎⽇、参照動画を⽤いてヨガ・マインドフルネスを⾃分で実践する
▶︎ヨガのこと、日々の暮らし、"幸せ"のイメージについて、⼤⼈や⼦どもたちと共に語り合う時間を設ける
上記の⽅法は、⼦どもたちのセルフケアや、⾃分の思考の⾔語化を促進させることが考えられます。
2. 毎回のプログラム開始前・終了後に、アンケート(質問紙法)、終了後に「ジャーナリング」* を⾏う
▶︎ アンケートは、⾃分⾃⾝の気分・感情について評価する測定尺度を⽤いて、⼼理因⼦(緊張・怒り・混乱・疲労・抑うつ・活気)等について測定する
* ジャーナリング: 物事を通して、頭に思い浮かんだことをありのままに"書く"ことで、⾃分を知り、ストレスを軽減し、メンタルヘルスを⾼める⽅法。 効果として、紙に書き出すことで集中⼒を⾼められるだけでなく、⾃分や物事を客観視することができ、気づきや発⾒を得られるとされる。
結果
・ネガティブな感情(緊張感・疲労感・不安感・焦り・混乱等)が軽減した
・⼀般成⼈と⽐較すると、ネガティブな感情も含めて、気⼒・意欲、社交性等の全ての感情表出が⾼い傾向にあった
また上記の他、⼦どもたちからは⾃分の⼈⽣について思考するような表出もみられたとのことでした。
そのような時間をもち感情体験ができていることは、⼦どもたちの成⻑にとって、とても⼤きな⼀歩前進ではないでしょうか。
「ポリヴェーガル理論」を理解しよう
「ポリヴェーガル理論」(多重迷⾛神経理論)*とは
*poly=多重の vagal=迷⾛神経
⼈が脅威に晒されるような異常事態時に起こすストレス反応として、⾃⼰防衛するために「闘争・逃⾛・凍結(凍りつき・すくみ)反応」(呼吸・⼼拍数・発汗・⾎流が急激に増進する、頭がまっ⽩・活動停⽌状態になる等)という神経系のはたらきがあるといわれています。
▶︎腹側の迷⾛神経系︓ 「社会的関与システム」という社交性やコミュニケーションの機能が作動する、⾃⼰を保てる状態にある
▶︎背側の迷⾛神経系︓ 「社会的関与システム」が作動しない、「闘争・逃⾛・凍結反応」を起こす
また、⼈は、他者との繋がり・関わりをもつことで、⾃⽴神経系が健全に機能し、「安全である」という安⼼を感じることで、神経系レベルで癒されると理論づけられています。
「ポリヴェーガル理論」にもとづくと、トラウマ体験を抱えている⼦どもたちに多くみられる、"症状"といわれるような⾏動や発⾔についても、⽣理的・本能的に⾄極当然な⼈間の反応として、彼らが⾃分を守ろうと必死に表現している姿なのだろうと想像でき、理解に繋がるように思います。 また、⼤⼈たちの関わりや環境によって、⼦どもたちは安⼼感をもって⾃分を癒すことができることを想像すると、やはり「ヨガ・マインドフルネス」の実体験は効果的であろうと考えます。
講師・⾕本先⽣とヨガスタジオTAMISAの取り組み「児童福祉施設におけるヨガ・マインドフルネス」のご紹介を終えて、私たち参加者も丸く円になって座り、マインドフルネス(瞑想)を体験しました。
流れるような時間のなかで、⾃分⾃⾝に意識を向けて深く呼吸を⾏います。
TAMISA に通っているといつも、先⽣⽅から紡ぎ出される⾔葉とすてきな空間に、⼼⾝共に洗われるようなデトックス感があり、⼼地よさや落ち着きを感じて、なんとも「気持ちいいー」感覚を味わえます。
すべての現代⼈へ、本当にオススメです︕
たくさんのお話をいただき、本当にありがとうございました。という感謝の気持ちが溢れるお時間でした。
ここでは、質疑応答の⼀部を挙げてまいります。
Q︓ 質問を通して伝わってきた、先⽣⽅が⼦どもたちと関わるなかで⼤前提として⼼がけていることは
A︓
▶︎何においても、「無理をしないで」と伝える(約束する)こと
▶︎⼦どもたち本⼈にとっての、選択肢を与えること
「あなたがいま、ここにいるだけでいい」というメッセージになる、「⾃分で⾃分のことを決める」体験に
なるのだろうと感じました。
Q︓ ⼦どもたちの集中⼒の持続が困難と思われる環境での対応は、どのように⼯夫されているのか︖
A︓
▶︎ 同じことを繰り返す︓ ⾒通しをもつことが苦⼿である⼦どもたちに、毎回不安にならないよう、「今からすること」をイメージしやすいように⾏う
▶︎ 運動量を増やす︓ ⾝体の動きを多めに取り⼊れる
▶︎ 協調動作を取り⼊れる︓ 別々に動く機能(⼿と⾜・⽬と⼿等)をまとめて⼀つにして動かす
▶︎ チャレンジ精神の促進︓ エネルギーが活発的な年代の⼦どもたちに、より多くの活動を取り⼊れる
Q︓ 新規場⾯・⼈に抵抗感や緊張感が強くあると思われる⼦どもたちへの対応は︖
A:
▶︎ 初めて参加する⼦どもたちには、意識的に声をかける
「あなたをちゃんとみているよ」と伝える(安⼼感を与える)ように意識する
▶︎ ⼤⼈が楽しむ雰囲気・場づくり、「⼀緒に楽しもう」という姿勢を意識する
▶︎ ⼥⼦学⽣も同⾏参加し、⼦どもたちにとって近い世代のお姉さん的存在として、安⼼感を与えやすくコミュニケーションを促進させる
私が感じた課題としては、対象施設の⼦どもたちだけでなく、働く職員の方々に対しても本プロジェクトのような取り組みや⽀援介⼊が必要になるのではないか、ということが挙げられます。
⼦どもたちへの即時的な対応に⽇々追われる労働⼒や過覚醒状態等の強いストレスを抱えやすい環境下で働かれている施設職員への⼼⾝ケアも効果があると想定できますが、短期・単発的には実施可能なものの施設職特有の働き⽅や労働時間の関係により、外部からの継続的な⽀援介⼊は難しい状況とのことです。
可能となるアイディアはないか、今後ぜひ考えていきたいこととなりました。
報告会が終わった後は、本当に「初めて、⾏ってみてよかったー...」と噛み締めるような気持ちで満たされた、私にとってとても貴重なご機会でした。
またこのようなイベントがあるならば、ぜひ参加しようと思っております︕
そして⾕本先⽣の次の研究に、⼀般対象者として参加できる機会があるそうです。
well-being やマインドフルネスの⼼⾝効果等に興味関⼼のある︕⽅はぜひ、ご⾃⾝に⽀障をきたさない範囲で、その効果を実感してみられてはいかがでしょうかー。 (※被験者側として、個⼈参加です。)
詳細情報は別途、ヨガスタジオ TAMISA から随時お知らせされますので、要チェックです︕
参照
⾕本 拓郎. 「Well-being Assessment Project Vol.2 児童福祉施設におけるヨガ・マインドフルネス」報告会資料
ヨガスタジオ TAMISA

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