TAMISA

[Midori]時間の過ごし方

YOGAと読書は、私の日常に馴染んでいてとても大切な時間です。
本を読むと、活力が湧いてくることや、癒されること、背中を押してもらうことがしばしばあります。

最近たくさん考える機会をもらった本。

「つくるをひらく」(ミシマ社・光嶋裕介)


この本は建築家である光嶋さんと、5名の方との対談本になっていて、いとうせいこうさんとの対談中の中で、"時間"についてこう書いてあります。

「なぜ人が時間を感じるかっていったら変化が起こるからなんですよ。落ちていった夕日を見たらさっきあったところにない、違うこと考えてたときにバッて見たらさっきよりも全然こっち来てる。そういうときに時間が起きてるって把握すると思うんですね。なにも変わらない世界があったら、そこに時間は起きないんですよ」(いとうせいこうさん)

時計やスマートフォンを見ることで、時間が過ぎたことがわかる。時計がなったとしても、陽の高さや、もしかしたらお腹が空いたという感覚で、このくらいの時間が経ったということが想像できます。
その時間という感覚も人それぞれで、あっという間に時間が過ぎたということもあるし、まだこんな時間というようにとても遅く感じることもあります。

私がいつも不思議だなぁと思うのが、朝の瞑想の時間をたっぷり取れた日は、出かける前の準備をいつもと同じようにしているつもりなのに、気がついたら出発前の時間に余裕があることが多く、落ち着いた気持ちでその後もゆっくり流れていくように感じています。

そして、この本の中でもう一つ興味深かったこととして、「社会的な時間」と「無時間」という捉え方です。
「無時間」とは、社会のリアルな時間と離れたひとときのことで、
<そこの中にいるときだけは、時間さえ流れてなくて、明るくなったりごキゲンでいる必要もなく、ありのままの自分になれる>と書かれています。

無時間とは、まさに私にとってYOGAをしている時間。その間はどんな自分でもよくて、あっという間に時間が過ぎていきます。
目の前に人がいたり、社会の中で活動をしていると時に、「明るく振る舞わないと」など、そこにいるからこその行動や振る舞いというものがあったりしますが、この無時間の間は、そのような「〜しなければ」という枠を外して、ただただその時間を味わうだけでいい。

社会の時間から離れて過ごすというのはとてもリフレッシュになりますし、側から見ると何もしていないようなぼーっとした時間も、このスピード感のある日常には必要な時間だと思います。

そんな風に考えているところで、ふと疑問が湧いてきました。
例えばお子さんがいる方からは、子どもが寝てからが自分の時間ということをよく耳にします
そうすると、無時間をとる時間が少ないのでは?
これについて、TAMISAのポッドキャストを一緒に収録しているYukaさんに聞いたことがあります。

Yukaさんは、3人のお子さんがいて毎日が賑やか。
そんなYukaさんからの答えは、「子どもといる時間も丸ごと自分の時間だと思っているよ」というものでした。
そこですごくハッとしたのは、自分の時間と、その他の時間をわけないという考えもあるということ。
誰といても、どこにいても、そのひとときを思い切り楽しむ。私にはそのように聞こえましたし、すごく素敵だなと感じました。

ずっと続いてほしいというあたたかな時間であっても、どん底に突き落とされたような時があったとして、その時間は刻一刻と過ぎて、いつしか変化していきます。
目の前の時間をどう使うか、心地よく過ごすのも自分次第。工夫することができるというだけで、気持ちにもゆとりが持てそうです。

最後に、ヨガの教えの中にある「モークシャ(自由)」という言葉をご紹介します。

ここでいう自由とは、好き勝手してもいいということではなく、
<どんな環境に置かれたとしても、内側が自由でリラックスした状態である>ということ。

今は特に制限を感じることも多い時期ではありますが、「無時間」を作ることや、「今」を楽しむことが、日々を健やかに過ごすためのヒントになると感じています。
混沌とした状況でこそ、内面の穏やかさや平安と繋がっていることがさらに必要なのではないでしょうか。

この記事を書いた人

Midori

広島県の自然豊かな場所で育つ。
会社に勤めていた頃にヨガと出会い、続けているうちに心身の良い変化を感じるようになったことをきっかけに、ヨガの魅力を多くの方へお伝えしたいと思い立つ。9年間の会社員経験を経てインストラクターとして活動をスタート。これまで、ヨガスタジオ、スポーツジム、その他施設でのシニアヨガ、椅子ヨガクラス、企業でのクラスを担当。
最近では、アーユルヴェーダの世界観を日常に取り入れて過ごすことで、より自分や外の環境とのバランスが取りやすくなったことから、ヨガとアーユルヴェーダの教えを基に、気づきを大切にするクラスを開催している。

pagetop

TEL075-212-0776